会社が倒産するとき社員はどうする?前兆があっても辞められなかった私




2017年、大きな企業破産の
ニュースといえば
てるみくらぶの破産。

エターナルラビリンス
通称エタラビの倒産。

2018年早々には
はれのひの夜逃げ、逃亡。

この3つの事件は、以前
私が働いていた会社の
倒産の時を思い出させる。

私も勤めていた会社が
多額の負債を抱えて
突然破産したことがある。

倒産の予兆は
てるみくらぶと同じく
2年前からあった。

その予兆を見ないふりして
会社はひたすら
クライアントに販売を続けるよう
社員に指示をした。

予兆がありながらも社員は、
会社の指示に従った。

その理由は、社畜としての
「洗脳」にあったと思う。

てるみくらぶで働いていた
80人の社員は、
どう思っていたのか?

はれのひの社員たちは
どう感じていたのか。

 

そして、内定を取り消された
新入社員たち。

何年か働いていた
社員たち。

みんなみんな・・・
まだまだ心の傷は
癒えていないだろう。

てるみクラブと同じく、倒産の予兆は2年前から始まった

会社が破産する前兆は2年前から始まった

私が、当時働いていた会社で
経営状態が悪くなってきたのは
倒産する2年前からだった。

全国でエステティックサロンを
経営していた会社だった。

てるみくらぶとは

お客様が、料金を
前払いしているという
点でも共通点がある。

会社の破産の兆候は、
倒産の約2年前。

まずは、幹部社員への
給与の遅配から始まった。

幹部社員たちは、
会社に忠誠を誓った
スーパー社畜軍団だったこともあり

「売上さえ上げれば
 この状況は脱出できる」

そう信じて、
全く疑わなかった。

給与の遅配は徐々に
幹部社員だけでなく、
各店の店長、マネージャーにまで
遅配対象になっていった。

当時、私も幹部の一人だった。

そのころから、私のメインの仕事は

「来月の給料は、
 〇日頃、振り込まれる予定」

と、給料振り込み日の
伝達だった。

はっきり言って、バカである。

 

私以上に無知で、やたらと純粋な
幹部社員の中には

「給料が遅れるのは
 あんたたちが売上を上げないからだ!」

と言って、社員へのノルマを
ますますキツくする
大バカ者すらいた。

給料の遅配は、ついに
アルバイトスタッフまで
対象になった。

たった300円の交通費が出なくて、出社出来ない

そして、給料だけでなく
経費まで出なくなった。

経費が出ない・・・?

要するに、会社まで来る
交通費が出ないのである。

たった300円の交通費がなくて
会社に来れない

そんなスタッフが出始めた。

エステティシャンが
エステサロンに来れない。

だが、お客様からは既に
前受けとして
料金を頂いてしまっている。

給料も交通費も
出ない会社が、

今更、お客様に
返金出来るわけがない。

数百円の交通費が
払えるスタッフが
ヘルプで、予約に
入らざるを得ない。

そんなことが、あちこちで
起きるようになってしまった。

会社では、必要な備品が
欠品し始めた。

一部の店舗では、
お客様が使用されつ
紙ショーツがない

なんて店舗もあった。

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それでも、スタッフはなぜ会社を辞めなかったのか?

会社がつぶれるかもと思いながら退職出来ない

スタッフのお給料が
支払われない、とは
かなり末期的な
状態である。

それでも、退職するスタッフは
思ったよりも少なかった。

というか・・・

退職者は、ほとんど
いないに等しかった。

なぜ、退職しないのか?

理由は、いくつかあると思うが
一番の理由は、ズバリ

「会社からの洗脳」
にあったと思う。

 

私も、見事なまでに
洗脳されていた。

キレイごとではなく、
「部下をおいて
 私が逃げ出すわけにはいかない」

本気で、そう思っていた。

倒産前の7か月間
正社員には、ほとんどお給料は
でなかった。

会社に忠誠心のうすい
アルバイトにだけ
数か月に一度、
バイト代が支給される
だけになった。

 

当然だが、「お金がない」
という社員ばかりだった。

私は、そんなスタッフに
私の貯金を切り崩して
給料の額と同じだけ
お金を渡していた。

そこまで、洗脳されていたのだ。

洗脳されている社員の
馬鹿力は、恐ろしいものがある。

てるみくらぶと
全く同じように・・・

「現金一括キャンペーン」
などを頻繁に行い

若い女性のお客様から
お金を搾り取るように
売上を上げて行った。

破産当日、会社は社員を守ったのか?

それでも、ついに
Xデーは、やってきたのである。

会社の破産の日。

その日は、ついにやってきた。

テナントに入っていた
店舗のスタッフには、

「自宅待機」の指示が出た。

私も、その1人だった。

悲しいが、テナントに出金してしまえば
テナント側からの攻撃を
受けることになるためだ。

その他、通常店舗のスタッフは
普通に出金して
お客様に対応していた。

私の電話は、鳴りやまなかった。

全部の電話に出て
対応したかったが、
とても対応できないほどの
相談だった。

「とにかく、荷物を持って
 早く帰りなさい。

 家に無事、帰ったら
 改めて夜に電話をしてね」

と短い指示を出すしかなかった。

そんなとき、ずいぶん昔に
部署が同じだったスタッフから
電話があった。

電話の向こうで、泣いていた。

話を聞くと・・・

実は、数日前、あるお客様から
現金一括で、60万ほどの
契約をしてもらった。

そのお客様が
初回の予約でご来店されたところ

本社からFAXが流れてきて

「本日より、法的措置を
  受けることになりました。

  すみやかに、物件から
  退出してください」

と書かれていたそうだ。

 

当然だが、店舗は
パニックになり
本社にいる上司に
電話をしたところ、

「今、会議中だから
 折り返し電話するね」

と言われて、電話を
切られたというのだ。

 

仕方なく、店長の判断で
お客様に正直に
事情を話すことにしたそうだ。

当たり前のことだが、
お客様は激怒し、
そこらへんにある物を
次々とスタッフに投げつけ

思いつく限りの全ての
罵声を浴びせたそうだ。

スタッフみんなで
床が抜けるほど土下座をし
ようやく引き取ってもらった

という事だった。

聞いていた私も
涙が止まらなかった。

とにかく、早く
シャッターを下ろして
私物を片付けて、帰宅を
するように・・・

そう言っていたら・・・

電話口で

ガっシャーン!

と何かが壊れるような
音がした

「どうした?」と聞いたら・・・

先ほど帰られた
お客様の一人が、
彼氏を連れて、
お店に乗り込んできたというのだ。

しかも、2トントラックを
店の目の前に止めて・・・

「60万円分のものを
 持って帰るわ!」

そう言って、
スタッフがシャッターを
降ろしているところ、

入口のガラス戸を
割ろうとしていると・・・。

まだ、本社の部長からは
電話がかかってこないんです

というスタッフに

折り返しの電話なんて
かかってこないよ

と私は伝え、

お客様には申し訳ないが
苦渋の決断で110番に電話をさせた。

「とにかく、自分の身を守りなさい!」

それだけ指示をして
電話を切った。

倒産して初めて、破産の恐ろしさを知った

そのあと、電話がかかってきたのは
深夜を回ったときだった。

110番をして、警察に来てもらい
何とか騒動が収まったそうだ。

駆け付けた警察は
衝撃的な事を言ったそうだ。

「スタッフの皆さん、
 しばらくの間は危険ですから
 お一人での外出は
 避けてください」

と言って、警察に保護されて
自宅まで帰宅したそうだ。

そして、今も
スタッフ4人、
1人になる事が出来ず
皆で一緒にいると言う。

「1人で外出出来ないほど???」

そう知ったとき、
一体、何百人の人から
私たちは恨まれているんだろう?

と気づいて、震えが止まらなく
なったそうだ。

被害は、これだけではない。

転勤などで、遠方で
寮に住んでいたスタッフは、

自宅に「出ていけ!」
と貼り紙をされ
実家に引っ越すための
費用も、全て自腹だった。

倒産の数日後、
披露宴を控えていた
スタッフもいた。

当然だが、お席表には
倒産した会社の名前、
役職の入った
出席者がいる。

大至急、手直しを試みたが
間に合わなかった。

私自身、会社の倒産で
吹き飛んだお金の額は

未払いの給料
退職金
経費

などなどで、総額300万円だった。

もっと勤続年数が長く
役職も上だった女性には
被害額900万という人もいた。

 

同じ過ちがなぜ、繰り返される

てるみくらぶにしても
はれのひにしても
私たちが働いていたエステにしても
エタラビにしても

なぜ、過去の過ちから
学ばないのか。

どうして、問題になるまで
事業を続けてしまうのか。

 

ひとつは、
「前もってお金をもらってしまっている」

という事業の特徴にある。

 

旅行会社も先に旅行代金を受け取る。
エステも回数券販売が主流。
はれのひも数年前から予約。

 

前もって入金されたお金は
「前受け金」という事で
本来は手を付けるべきではない。

しかし、会社としては
資金を運用して
設備投資をしたりなど
使ってしまっていることがほとんど。

あとは、サービスを
提供するだけになるのだ。

ただ、サービスを提供するには
人件費や固定費がかかる。

そこであらたなる売上が
必要になるのだ。

会社はさらに販売を続ける。
そのサービスの提供は
しばらく後に行われる。

そして、会社も悪循環に
ハマっていくわけだ。

 

クライアントとしての
被害にあわないためには
前払いは必要なサービス、

エステ、旅行、着物などは
会社選びを慎重にすることだ。

 

最後に・・・

倒産から数か月。

心の傷は癒えてはいないが
「洗脳」はなくなっていた。

スタッフと集まって
荷物を整理しながら・・・

自分たちが来ていた
制服。白衣を見て
飛び上がった。

中華料理の厨房で使用する
エプロン並に汚れている。

当然だ。

会社の資金繰りが
悪くなってから、
一度も新しい制服が
支給されていないのだ。

もちろん、自分たちで
クリーニングに出すような
数百円のお金もなかった。

こんな、油まみれの
白衣を着て、心から

「売り上げを出せば
 会社を立て直せる」

と信じていたなんて
思い出しても恥ずかしい。